【若い層が安価に実現】完全な地方移住ではなく「複数拠点生活」の可能性。すでに500万人以上が実施
近年、コロナ禍での経験やワイドショーなどによる地方の良さなどにフォーカスした特集などの影響もあり、地方での生活への関心が高まっています。
しかし、移住先での仕事や子育て、地域コミュニティとの関係などの課題などがネックとなり本格的な移住にはなかなか踏み切れないといった方も多いのもまた事実です。
そのような中、自宅を所有しながら地方にも拠点を構える「複数拠点生活」を始める層が増加していることをご存じでしょうか?
コロナ禍による地方移住の希望者の層が増加
コロナ禍を経て、ここ数年で働き方が多様化したことにより、特に20代~40代の若い世代を中心に地方移住への関心が高まっています。ある調査※では、2019年以前に開始した層の平均年齢が52.1歳であったことに対して、2020-21年に開始した層の平均年齢は46.3歳と6歳近く若返っています。
また、別の調査では東京圏に住む20歳代の半数近く(44.8%)が地方移住への関心があると回答、そして、現在なんと日本国内で約535万人が実際に複数拠点生活を実施しており、さらに1269万人がその検討をしているという調査結果も出ています。
※1 2022.3(一社)不動産流通経営協会 調べ ※2 2023.5内閣府 調べ
複数拠点生活を実施する層の増加、その背景
背景として、その多くが企業の働き方改革やテレワークの導入などにより居住地を選ぶ自由度が高まったことが影響していますが、具体的な事情や理由はそれぞれのようで、「結婚・同棲を始めた」「友人・知人が複数拠点生活をしていた」ということなどがきっかけで始める方も多いようです。
また、その目的・理由としては「自然を感じられる環境で過ごす」「避暑・避寒・癒し・くつろぎ」「趣味を満喫する」などの回答が多くなっています。
実際に複数拠点生活している層の実像
それでは、そのような羨ましい暮らし方をしている人たちとは、いったいどのような層なのか、少し掘り下げてみたいと思います。
まず職業ですが、今回の動きが働き方の変容によって後押しされたことが大きいため「正社員・公務員」の方が突出しており、実施者全体の44%以上を占めています。
次に年収ですが、実施世帯の平均年収は764万円、個人の年収だと509万円となっており、ひと昔前にイメージしていた「別荘を構えるのは富裕層だけ」というイメージとは違い、比較的に誰でも取り組むことができていることが分かります。
続いて年代別の割合ですが、20-30代が27.4%、40-50代が33.9%、60-70代が38.7%という割合になっており、大きく年長者に偏っているわけではなく、5~10%程度の差はありますが、20代から70代まで、幅広い層が実際に複数拠点の生活を愉しんでいるようです。
このように、ひと昔前に比べると驚くほど多くの方が複数の拠点を確保し、地方で悠々自適に暮らすというアクションを実行されており、さらに若年層が増えネットなどのツールも発達したこともあり、個々に工夫をしながら、費用を掛けない方法で実行に移しているようです。
次回は、実際に複数拠点生活をされている方がどのような物件をえらんでいるのかなど、その実像をもう少し掘り下げてみたいと思います。